【3選】スタートアップが押さえるべき大手人材採用の事例と教訓

この記事の著者
中間 康介(一般社団法人社会実装推進センター代表理事)
公開日時
2022/10/3
タグ
スタートアップ
採用
 

転職の約2割は大企業⇒スタートアップ


コロナ禍における働き方の変化、様々なスタートアップの勃興、大企業とスタートアップの年収差の縮小もあり、大企業からスタートアップへの転職は増加傾向です。
 
日本経済新聞によると、今や転職の約20%は大企業からスタートアップの転職とまでいわれています。エン・ジャパン株式会社の調査によると、ミドル世代(35歳以上)の76%が「スタートアップ企業へ転職したい」と回答。これまで帰属意識や安定志向が強かったとされる大企業中堅社員にも、「先進性・革新性のある事業に携わりたい」というニーズが広まりつつあります。
 
こうしたニーズを背景として、人材流動・交流を活性化するための政策も動き始めており、2022年7月からは、経済産業省事業”スタートアップチャレンジ推進補助金(通称スタチャレ)”がスタート
 
大企業人材がスタートアップへ転職/出向/副業等で参画する取組にかかる費用の一部を助成するなど、人材への成長機会付与と、スタートアップの人材不足解消を政府としても後押ししています。
 
引用:大企業から新興へ転職者7倍 縮む年収差が追い風(日本経済新聞)、引用:ミドル1000人に聞く!「スタートアップへの転職」実態調査(エン・ジャパン)
引用:大企業から新興へ転職者7倍 縮む年収差が追い風(日本経済新聞)引用:ミドル1000人に聞く!「スタートアップへの転職」実態調査(エン・ジャパン)
 

お互いの情報不足が生むアンマッチ


一方で、大企業人材からみるとスタートアップは「未知の世界」です。
 
ビジネスモデルも働き方も全てが大企業とは異なる環境だけでなく、公開情報も少ないので、過度に期待を持ってしまったり、逆に過度にリスクを感じてしまいがちです。
 
本来はスタートアップ側が丁寧にコミュニケーションを取らなければならないのですが、特に人材が不足しているシード・アーリー期では人事専任者を設定できることは多くありません。
 
今回、”スタチャレ”の事務局を務める筆者が、スタートアップや仲介事業者への調査により把握した『スタートアップの大企業人材採用にまつわる”あるある失敗事例”』を紹介し、スタートアップの採用における要点や、”スタチャレ”を利用するポイントなどを整理したいと思います。
 
 

失敗事例①:人材要件を定義せず、採用をする


特にスタートアップが最初に大企業人材を採用する際にやりがちな事例として、『人材要件を定義せず、”COO候補”を採用すること』があります。まだ人数も少なく、事業内容や役割分担も流動的な状況なので、基本的には”何でもやる人”を求めるケースは多いと思います。
 
一方、そんな人材は世の中にそう多くはありません。ある程度役割が決められた中でパフォーマンスを発揮してきた大企業人材が、スタートアップに転職して急に何でもできる人材に変わることはありません。
 
COO候補と聞いて経営的なポジションにつくとイメージしてしまう人材側と、何でも一緒に手を動かしてもらいたいスタートアップ側で、期待値のズレが発生してしまいます。
 
これに対しては、例えば人事制度設計やバックオフィスの業務設計など、緊急性は低いが重要な課題を切り出し、プロジェクトベースで関与してもらいながらカルチャーフィットを促すことで、アンマッチを防いでいる取組などがあります。
 
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教訓①:安易な”COO候補”は禁物。組織の課題を分解して、必要な役割を定義すべし。

失敗事例②:事業フェーズに合わない採用をする


研究開発型のスタートアップなどに多いパターンとして、ビジネスサイドに不安があるため、総合商社出身者などが求人に応募してくると、”商社マン=ビジネスサイドが全て分かる人”と、過度な期待値を持って採用してしまう…といったケースがあります。
 
プロダクトができる前のフェーズで参画してしまい、売りたいのに開発が追いついていない…といったケースが散見されます。折角採用したにも関わらず、こうしたケースは早期に離職してしまい、もう少し開発が進んでいるスタートアップに転職したりしています。
 
こうしたケースに陥らないようフェーズフィットを考えることが重要です。先の例で言えば、ある程度プロダクトができてきたフェーズであれば、グローバル展開を見据えた事業計画の立案・営業等、商社マンのスキルが活かすことが出来ます。
 
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教訓②:自社の”フェーズ”を十分に理解し、フェーズ毎に必要な人材像を明確にするべし。

失敗事例③:ピボットを考慮しない採用をする


事例②のフェーズフィットに関連して、特にシード・アーリー期のスタートアップでは、まだまだ事業内容自体が大きくピボットする可能性があります。そんな中、現在の事業案に必要だといって、特殊なスキル・業界知識を有する専門人材を採用するのは、あらゆるリスクを孕みます。
 
よくあるケースは、ピボットした結果、当該人材のスキル・業界知識が不要となるケース。
 
これではお互い不幸なので、「ピボットがあり得る」ということを、お互いが事前に認識しておくことが重要です。そうすれば、例えば事業内容がまだピボットする可能性がある期間は、プロボノ・副業・業務委託などで関与してもらいながら、徐々にコミットを高めていくような、関わり方を選択肢として取ることができます。
 
また、そのタイミングで正社員で採用するのは、会社の成長と共に自身の役割もピボットできる柔軟性を有しているかどうかを基準とすべきとも考えられます。
 
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教訓③:事業のピボット可能性を踏まえて、雇用形態と採用基準を決定するべし。

【要点】”採用”は、専門スキル。玄人の力を借りるのも一計。


これらの事例から言えることは、”採用”はひとつの専門スキルであるということです。これだけの事を考えて、求人票を作成し、面談を行い、採用を決定する。この取組を、特に創業初期のスタートアップが自社のみで実施するのは限界があり、スタートアップの課題を理解した仲介事業者の力が必要になってきます。
 
では、どのように優良な仲介事業者を探せば良いのでしょうか。
 
 

国の補助制度”スタチャレ”で、採用費を最大2/3支援


手前味噌ながら、おススメしたいのは”認定スタートアップチャレンジ推進サービスに認定された仲介事業者から探すことです。
 
これは、経済産業省が行っている”スタチャレ”の一環で、スタートアップ特有の人材課題を理解し、人材紹介・RPO・ダイレクトリクルーティングサービス等の採用支援サービスを提供している事業者を、国の第三者委員会の審査を経て認定している制度です。
 
認定サービス一覧を見る(クリックで開閉します)
 
フルタイムの転職斡旋以外にも、副業兼業のマッチングや、大企業からの出向者仲介など、スタートアップの採用活動を支援する様々なサービスが登録されています。
 
スタチャレでは、この認定サービスの利用費用に対して、国から最大2/3の補助が出ます。(2022年11月中まで公募中、予算が無くなり次第終了。)
 
 
「採用に課題感はあるが、どうしたらよいか分からない」「費用がボトルネックで仲介サービスの利用は考えていなかった」、そんなスタートアップの皆さん、これを機に検討されてはいかがでしょうか。
 
2022年11月末までに人材採用(転職、副業兼業、出向等)を行い、3ヶ月以上の勤続が確認できるものが対象となりますので、興味がある方は事務局まで気軽にお問い合わせ下さい。
 
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一般社団法人 社会実装推進センター スタチャレ担当
  • MAIL:su-hr@jissui.or.jp
  • TEL:03-6435-8962
※申請要件・詳細は、下記URLから申請の手引き(スタートアップ向け)を参照ください。

❚ 参照・引用


執筆:中間 康介(一般社団法人社会実装推進センター代表理事)